東京のトンボ相について
東京都はトンボの記録種数が全国で2番目に多い「トンボ王国」です。特に多摩地域の丘陵地には、谷戸(やと)でみられる湿地やため池、地下水が自然に湧き出る湧水地(ゆうすいち)など、トンボが好む多様な水辺環境が残っています。一方で、水田環境の消失や侵略的外来種による影響等を受け、本土部では50種が絶滅の恐れのある種としてレッドデータブックに掲載されています。トンボは、水域の生物多様性の豊かさを示す重要な指標であることから、東京のネイチャーポジティブを目指すうえで、これらを記録し変化を把握することが必要不可欠といえます。
東京都野生生物目録「トンボ目」(トンボ目録)
東京都野生生物目録では、過去から現在までに記録された野生生物の種を取りまとめています。
トンボ目録では、108種及び5亜種(2024年5月現在)について収録しています。
科、属、種の配列や、学名、和名については、ネイチャーガイド 日本のトンボ 改訂版(尾園 暁・川島逸郎・二橋 亮 著,2021,文一総合出版)を参考に、有識者による監修のもと組み立てています。
東京都野生生物目録を見る
トンボ目録に収録されている情報について
東京いきもの台帳には、標本・文献の情報、市民科学による情報、そして有識者による観察情報を含めた約15,000件(2024年5月時点)の記録が収録されています。
公開しているトンボ目録に収録されている情報は、こちらから検索いただけます。

【標本】
標本情報としては、国内外に収蔵されている博物館等に収蔵されている標本の情報や、須田真一氏にご提供いただいた、須田真一所有標本の情報等を掲載しています。
【文献】
文献情報としては、TOMBO(日本トンボ学会)やシブチャン(東京トンボ研究会)、うすばしろ(西多摩昆虫同行会)等の学会誌や同好会誌、学術雑誌等を中心に、様々な文献を活用しています。
【観察】
観察情報としては、監修者である喜多英人氏からご提供いただいた有識者による調査記録等を掲載しています。
【市民科学】
市民科学情報としては、「東京いきもの調査団」で集まった都民のみなさんからの3,400件以上の57種(2024年5月時点)のトンボの投稿情報も活用しています。なお、これら全てについて有識者による種同定(種名が正しいかの確認)を行っています。
「東京いきもの調査団」では、継続的に調査を実施しています。その活動内容や活動レポートなどはこちらで発信しています。

クエスト(Biomeアプリ内の調査イベント)のヘッダー画像
【情報の精査と留意点】
トンボ目録作成においては、確実な記録の収集に努めています。例えば、文献情報は原典にあたることを原則とし、生息記録が記載された資料については再現性のある状態で収集しています。観察情報については、有識者から提供された調査記録等を活用しています。そのため、目録内の掲載情報の一部は、東京都レッドデータブックや、『東京都のトンボ』(喜多英人 編著・須田真一 監修,2021,いかだ社)に掲載されている情報等と異なる場合があります。
その他、掲載に関する留意点は、こちらからご確認いただけます。
掲載に関する留意点はこちら
目録の監修者と「トンボのコラム」
トンボ目録をとりまとめるにあたり、有識者の方々に監修いただきました。


また、トンボ目録の公開とあわせて、東京のトンボに関するコラムを執筆いただきました。トンボの生態や生息環境などについても知識を深めながら、トンボ目録をご活用ください。ぜひ、みなさまご一読ください。